土木デザイン設計競技 景観開花。2015

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株式会社 東京建設コンサルタント

東京建設コンサルタントは、1960年の創業以来、総合建設コンサルタントとしてさまざまな分野で実績を積み重ねてきました。そして、先端な技術者集団として、常に業界をリードしてきました。

二十一世紀を迎え、ますます地球温暖化、人口問題、資源の涸渇が深刻化しています。人類が安全・安心で豊かな生活をするには、これらの問題を避けて通ることはできません。私たちは、このようなグローバルな視点で公共事業に取り組んでいます。わが国でも、さまざまな環境問題が顕在化するなか、地震・津波、豪雨などの災害に強い国土づくりが緊急的な課題となっています。当社は、これらの地球環境問題や防災に確実に対応するため、本社組織である環境防災本部、環境モニタリング研究所、地域環境本部を日々充実させています。また、過去、営々と整備されてきた大量の社会資本ストックの老朽化が顕在化し、社会問題化しています。当社は、既設構造物の長寿命化を図り、最適な維持管理計画を提案するため、ライフサイクル本部を拡充し、万全の体制としました。

更に、公共事業を取り巻く環境がますます厳しくなるなかで、事業化段階における住民参加と地域合意形成、発注者支援のためのCM、PM、民間資本導入支援のためのPFIなど、新たな事業執行マネジメントにも積極的に取り組んでおります。建設コンサルタントに求められる役割は確実に大きくなってきており、決してとどまることは許されません。

東京建設コンサルタントは、「次代への構想〜Design for Next Age」を事業方針に掲げ、先人たちが築き上げてきた歴史や風土を真摯に学び、そして知恵や技術を確実に受け継ぎ、常に時代の先端に立ち、培った高度な技術サービスを通じて、安全安心で、豊かで潤いのある社会資本整備に貢献してゆきます。

「ダムの景観設計デザイン」 ―津軽ダム・大分川ダムの景観設計―

平成26年度 津軽ダム周辺整備設計監理業務
(東北地方整備局局長表彰 受賞)
平成26年度 大分川ダム景観検討業務
(九州地方整備局 大分川ダム工事事務所長表彰 受賞)

総合事業としての性格を有したダム建設事業における景観設計では、多岐の対象・工種そして多数の関係者におけるデザイン思想の統一・共有が不可欠となっています。当社は、ダム建設事業に係る時間的・空間的特徴を的確に把握し、地域特性に応じた景観設計を実施しています。

建設事業の終盤にあたる津軽ダムでは、「白神の自然と人が出会う優しい新風景づくり-白神の自然と人(地元に住まう人、管理に携わる人、観光に来る人)が接する新しい場所」をコンセプトに景観設計と施工時における景観マネジメントの一環としてのデザイン監理を実施しました。

また、工事最盛期の大分川ダムでは、「ななせの里と、豊かな自然をつなぐ気軽に行きたくなるダム』を目指して、景観整備方針の立案と設計段階・施工段階における景観配慮事項とデザインのとりまとめを実施しました。

建設中の津軽ダム

大分川ダムのイメージパース

「近代土木技術の継承」 ―重要文化財『石井閘門』の保全対策と補修検討―

平成24年度 石井閘門保全対策計画検討業務
平成25年度 石井閘門補修等検討業務
(2年連続 東北地方整備局局長賞 受賞)
重要文化財 石井閘門 補修
(全建賞(平成25年度河川部門) 受賞)

北上川(現在の旧北上川)と北北上運河とを接続する石井閘門は、明治13年に完成した日本初の西洋式近代閘門で、現在も稼働する閘門としては国内で最古の施設となっています。明治期から大正期にかけて全国に建造された近代閘門の規範を示す施設として土木技術上価値が高いとされ、平成14年に国の重要文化財に指定されています。

この石井閘門は、完成から現在までの130年余りの老朽化とともに、平成23年3月に東日本を襲った東北地方太平洋沖地震において震度6強の揺れを受けるとともに津波にものみ込まれ、周辺地盤の沈下や石積、煉瓦等が変形・破損しました。

弊社では、2ヵ年に渡る受注業務において、三次元レーザー測量、地中レーダー探査、コンクリート・煉瓦の強度試験等の綿密な現地調査や試験と調査・試験結果に基づいた定量的な健全度評価を実施し、技術的な裏づけに基づいた補修計画の立案を行いました。更に補修工事にあたっては、文化的価値を保つために、解体時に正確な記録を取りつつ、元の形に戻すことができるように『文化財としての施工監理』を実施し、補修範囲を最小限にするとともに、可能な限りその部材(取り外した煉瓦や石材)を当時の施工技術を活用して再構築を行いました。

3D表現による補修計画立案

補修工事完了後の石井閘門(H26.10)

「市民と進める自然再生デザイン」 ―東京都野川における自然再生事業―

土木学会デザイン賞2014 優秀賞受賞

野川の自然再生事業は、東京の市街地を流れる野川と調節池を対象に、事業対象地区にかつてあった水のある豊かな自然環境を再生することを目標とした、自然再生推進法に基づく事業です。本事業では、自然再生協議会(市民、市民団体、学識者、行政機関で組織)での議論による計画・設計段階からの市民との合意形成、更には、段階的整備や順応的管理を旨とした市民による維持管理のしくみのデザイン(管理運営を担う市民団体「野川自然の会」を事業開始時に立上げ東京都と覚書を締結、自主的財源による継続的維持管理、ふれあい活動等の推進、モニタリングによる管理や次期整備へのフィードバック、野川からの取水量の調整等を担う等)に特長があります。

具体のデザインでは、①人工物は極力不使用、②人工エネルギーは原則不使用、③人為的な移植・移入を行わない、④水源は野川からの取水と雨水とするなど、水・土・木・石といった自然素材の活用を中心とした「自然再生事業の整備や維持管理に関する基本原則」を設定することで、環境の多様性やかつてあった風景の再現や創出を目指しています。結果、治水施設でしかなかった調節池が、田んぼを中心とした自然体験の再生の場として、市民の憩いの場、活動空間として新たな意味を持つ場となっています。